「それでも不安だったら、私はもっとわがままになってもいいと思うな!」

ニッと笑って見せれば、空くんはどういう意味かと尋ねるように首を傾げる。

「空くんはもっと寂しい、会いたいって言っていいんだよ」

「でも……」

「わがまま言ったって、ちょっとくらい文句言ったって、家族の縁って簡単に消えるもんじゃないって思う」

どんなに喧嘩しても嫌いにはなれないし、損得無しに無条件に愛しいと思う存在だから、家族なんだ。
私はそういうものだって信じてる。


「その時は……来春もついてきて」

「え……?」

「来春がいたら、無駄に前向きになれそうだから」

ガビーン、無駄にってどういう事だ。でも、空くんに私が必要ならどこへでもついていくから。

「まっかせなさい!」

私は空くんに少しでも頼ってもらえるように、胸を張ってみせる。

「うん、まかせた」

空くんは照れくさそうに笑って、ケーキをパクリと食べた。この笑顔が失われないように、このペリドットのペンダントを預けてくれたあの人に恥じないように……。

私に出来る事は、みんなを明るく照らせるような人になる事だ。