私と彼の関係


「はあ!?この問題がわからないだと!?お前…本気で言ってンのか!?頭狂ってんじゃねぇの?」

はい…。

さっき正直に"この問題が分かりません"と言ったらこう言われてしまいました。


「大体、45÷3が分かりませんなんて…よくその年齢まで分からないままで生きていこうと思えたな…。逆に尊敬に値するレベルだ…。つーかお前、どうしてこの学校に入れたわけ?ここ、一応かけ算とわり算は出来る奴しか入れないって聞くけど?」


…ごめんなさい…。私、かけ算の問題は全部足し算をして答えを出したし、わり算に至っては手をつけませんでした…。


そして、解答欄には分からないところは全部勘で書きました…(ちなみに入試では勘で書いたところが全部当たっていたのです…)

私、きっと一生分の運をあそこでつかってしまったのかもしれないです。






「………マジか…………お前、それ、ある意味すげぇよ。だからか、お前入学式の時、新入生代表の挨拶してたよな?まさか…こんなに馬鹿とは思わなかった…」


あ、れ…?

私さっきから何も話していないはずなのに、どうして彼に私が思っている事が伝わっているの!?

もしかして…エスパ「違うから。お前、さっきから考えている事全部口に出ているから」

えっ…ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!?



って事は、もしかして…担任の先生と話してた時、私が何も話していないはずなのに、やけに話が通じていたのも…(全部口に出していました)






恥ずかしい…。



「いや、そこを恥ずかしがるより、お前がかけ算とわり算が出来ない事の方が重要だ。つーかお前、小学2年生で九九を習わなかったのか!?いや、習った習わなかったって問題じゃない。お前、九九をどうして覚えなかったんだ!?あの頃は九九を覚える為に皆必死じゃなかったか!?それとも…まさか、お前…身近に九九を覚えてない人間が近くにいたのか!?」



いえ、決してそのような事はありませんでした。私には、兄と姉がいるのですが、2人とも優秀な学校を優秀な成績で卒業しております。兄は超一流企業で働いており、姉は一流大学に進学しております。両親共々まともでございます。父は、会社員(兄と同じ会社)で、母はピアノの先生をしています。



「…その家族構成を聞いていると、僕の家より遥かに収入がありそうだし、生活にも余裕があるだろ…お前がおかしいんだな。お前が」


ちょっ…ヒドイ…本当の事とはいえ、もう少し遠慮してくださってもいいのでは…?

って、私、また話しているつもりはないのに口に出しているんですか!?


「お前…本当に馬鹿だな…。こんなに救いようもねえ馬鹿生まれて初めて見たよ…」


「あ…あの、睡蓮くんのご両親はどのようなところで働いているんですか…?それから…出来れば家族構成も知りたいです…」


「お前、普通に話せるんだな…。で、僕の事について知りたい?…ああ、あのクソ担任から余計な事でも聞いたのか?それとも今の会話の流れからか?」