重い足取りで家まで帰り、玄関のドアを開ける。
「ただいま……」
「お帰り?」
いつもより声が小さいことに、気づいてるんだろうか。
お母さんは、何も聞かなかった。
それが今の私にとっては、凄く助かる。
「どうすればいいんだろう…」
このまま先生を忘れて……
「なんて出来る訳ないに決まってるじゃん…っ!」
無理だよ、そんなの。
恋に落ちちゃったんだから。
先生が居ないとダメなくらい、大好きになっちゃったんだもん。
一生、先生の想いと想い出が消えるはずがない。
やっと信頼出来る人、先生が出来たのに。
優しい先生でも、すぐに私を捨てちゃうの?