あおい…しょうや?
「だってピアスしてブレザーの中にパーカー着てて怖い目付きの人って言ったら蒼井翔也ぐらいしかいなくない?」
「その人同じ2年?」
「うん。1組」
雨に濡れたせいなのかなんなのか寒気が止まらない。じゃ不審者じゃなくてただ私に用があっただけとか?いや、それにしては言ってる事がおかしかった。
「で、でも私初めて見る顔だったよ?同級生なのにあり得なくない?」
「んー蒼井ってほとんど学校来てないし、たまに来てもずっと寝てるだけで授業受けてないみたいだよ?私も顔とかまじまじ見た事はないけど特徴からいって多分その人だよ」
確かに同級生と言っても一クラス32人いるわけで。6組まで計算すると192人。ほとんど学校に来ていないから見た事がない人がいても不思議じゃない。
「じゃぁ…その人だったのかも。でもなんで私話しかけられたんだろう」
「さぁ。本人に聞いてみる?今朝制服着てたなら学校来てるんじゃない?」
「い、いいよ…怖いし。多分人違いじゃないのかな。はは」
全然笑えてないけどね。だって私の事フルネームで呼んでたし人違いであってほしかった。
「まぁなんかあったら濱田先生に相談すればいいよ。あ、そろそろ教室戻らなきゃやばいよ」
慌ただしく保健室を出て窓際に干してある私の制服が虚しく見送っていた。