「それのどこがゲームなの?」

美保は興味津々で、そういえば沙織が橋本さんに何かする度に美保も一緒に笑ってるっけ。

美保と沙織は外見も似てるし気が合うんだろうけど、沙織と一緒にいる美保はあまり好きじゃない。

「橋本がどんな返事するかみんなで賭けてんの!
今の所他のクラスもいれて参加者は20人くらいかな」

「賭けるっていくら?」

「イエスでもノーでもひとり500円!今の所
イエスが多いよ?美保達はどうする?」

沙織の口調はもう参加決定みたいな言い方。
……嫌だな。早く授業始まらないかな。

「じゃ、私はノーに500!」

美保はなんのためらいもなく沙織の手のひらにお金を乗せる。そうなると必然的に私の番になる事は避けられない。

「あかりはどっち?」

沙織がこっちを見てる。

やらないと言ったらどうなるんだろう。ってかこれって強制じゃん。なんで美保もこんなのに乗っちゃうの……?

「わ、私は……」

喉が詰まる。

いつもチャイム前に来る先生は今日に限って遅いし、あと3分が永遠みたいに長く感じる。

「ごめん。財布忘れちゃって…」

とっさに思い付いた嘘。一瞬空気が変わったけど美保がお財布からもう1枚の500円を出した。

「じゃ、あかりの分は私が立て替えてあげる。
あかりも私と同じ賭けでいいよね?」

「う……うん」

救われたのかどうなのか分からないけど、
またモヤッとする事が増えてしまった。