「おせーんだよ。ハゲ」

あー嫌だ嫌だ。

せっかくの昼休みを犠牲にして、しかも美保に先生に呼ばれてるとか嘘ついてこんな奴に会いに来てしまった。

しかも場所はオバケが出ると噂の科学室。

カーテンの色で部屋は緑がかってるし骸骨の模型は置いてあるし最悪。一応お弁当持ってきたけど食欲失せてきた。


「……なんでここなの?」

「あ?お前が人目につかない場所がいいって言ったんだろ」

………言ったけど。だって人前でする話しじゃないし蒼井と一緒にいるところ見られたくないもん。

蒼井がこんな科学室でもばくばく購買のパンを食べ始めたから私もとりあえずお弁当を開けた。

「それ、自分で作ってんの?」

「え、いや、お母さんだけど」

「へぇ。仲いいんだ」

「まぁ仲はいいかな。うん」

あれ?私普通に蒼井と話してる?ってか蒼井ってまともな会話とか出来るんだ……。


「で?なんか俺に聞きたいんじゃないの?」

蒼井は瞬時でパンを3つ完食した。私なんてまだウインナー1本しか口に入れてない。空腹のはずなのに箸が進まなくてそのまま置いた。


「これはあくまで仮の話しであんたの事信じたわけじゃないんだけど………私達ってこの学校の屋上から落ちたの?」

自分で言ってて頭の処理が追い付かない。

「うん。そう」

「だ、だとしたらなんで今生きてるの?なんで普通に生活してるの?蒼井が言ってるのは私達が屋上から落ちて何故か気付いたら今の場所にいて……
みたいな事でしょ?」

そんな漫画みたいな事ある?

ってか私には落ちた記憶すらないし、信じる根拠をどうしたって探せない。