強引なキスで酔わせて【完結】~二人のその後 更新中

パァーンッ



と、乾いた音がテラスに響いた。



その瞬間、左頬に痛みが走り、何が起こったのか理解するまで数秒。
私の時間(とき)は止まった。


叩かれた左頬が痛い。
そこに集まる熱に、手を添える。


目の前の麗奈さんを見れば、ポロポロと涙を零し、私を射抜くように見詰めていた。



「泥棒猫っ!!!」



汚い言葉で罵られているのはわかる。
けど、何せ27にして初めて経験する修羅場。
何をどう返して良いかすらわからない。



「凌を返して!私に凌を返してっ!!」



正直、私には理由がわからない。
左頬を叩かれる理由も、凌さんを返してと言われる理由も。


私は麗奈さんが居ると知ってて、凌さんを好きになったわけじゃない。
私達が始まったのは、たった1ヶ月前。
麗奈さんと凌さんが別れたのは半年前。


私が叩かれる理由も、詰め寄られる理由も、そこにはないじゃないか。




「凌さんはモノじゃありません。」




自分でもびっくりするくらい落ち着いた声で、そう言えた。