「好き過ぎて、どうしていいかわからなかったんだ。お互い、いい歳になって、どんどん、どんどん綺麗になってく楓に触れたら壊してしまいそうで。それで気持ちの持って行き所のない俺は、他の女でそれを満たすようになって。じゃ、そんなことしてたら、真っ白な綺麗な楓に触れようとするだけで、俺が楓を汚すんじゃないかって。何もかもが負の連鎖だった。」
「何それ・・・・自分勝手だよね。」
「なのに、他の男は楓に寄ってく。もう嫉妬で狂いそうだったよ。俺・・・楓・・・俺、楓のことが・・・好きなんだ・・・」



あの奏汰が。
奏汰が私のことが好き?
しかも、そのせいで私は今まで男の人と付き合ったとこもないなんて。
なんだか悲しい運命だ。



もっと早く奏汰の想いを知っていたら、私達は違う運命だったんだろうか。



「ごめん、奏汰。その気持ちに答えられない・・・・・」



桐島部長に出逢う前だったら、奏汰の想いを受け入れてたかも知れない。
喜んで奏汰の腕に飛び込んでたかも知れない。


けど、半年前、桐島部長が赴任して来たあの日から、私の心は彼に持って行かれてた。


「どうして?どうして、楓?」
「私、奏汰のことがずっと好きだと思ってた。けど、それは錯覚で、ただの憧れだって、気付いたの。桐島部長がそう教えてくれた・・・」


バンッ!!!!


「なんでっ!!!!!」


机を思いっ切り叩いて、奏汰は立ち上がった。
俯いてる奏汰の顔は見えないけど、その瞳からは涙が零れ落ちてた。