その手に錠をはめるまで




「へぇ、いじめられたいみたいだな」



おもしろそうにくつくつと笑う雨は、いつの間にかあたしの真後ろに立っていた。


ぎゅうっと後ろから抱きしめられる。


この体温、この温もり。


やっぱり安心して、それでもって大好きだ。



「なぁ、なんか言えよ」



なんかって何よ・・・・・・。


ボーっとしてきたあたしは、物事を適当にしか考えられなくなっていて。



「ん」



飛び出た吐息だけを残して、あたしは眠ってしまっていた。



「響姫、俺のことを嫌わないでくれ・・・・・・。


愛しているんだ、だから愛してほしい。


たとえ真実が残酷で、ただただ残酷なだけだとしても、俺が響姫を想うこの気持ちに偽りなんてないんだ。


だからどうか・・・・・・」