その手に錠をはめるまで




「ちょっ、待て響姫」



呼び止められて足を止める。



「本部にもたまには顔を出せ。


最近全然顔出しができていないんだろ?」



「仕方ないじゃん、忙しいんだし。


現場には行っているからそんなに問題はないでしょ」



「そういう問題じゃないだろ。


あいつらだってみんな、お前の無茶ぶりを知っているんだ。


だから心配しているんだよ」



「・・・・・・いつか、また顔を出す」



たとえ、どんな形になろうと、ね。


そう言ってあたしは今度こそ振り返らずに家まで戻った。


いつか、本当にいつか。


あたしが目標を達成できたら、会いに行けるといいな。


彼らのことが嫌いなわけじゃない。


ただ、戻りたくなってしまうから、だからあたしは会わないんだ。