その手に錠をはめるまで




「毎度毎度、あたしに話せないような仕事って、パパも響姫も何をしているんだか」



呟いた萌恵奈の言葉は、あたしたちに後ろめたさを感じさせる。



「萌恵奈、前も言ったでしょ。


危険を回避する方法は心得ているって。


だから大丈夫。


それに、危険なんかないに等しいし」



今のところはね。


そう付け足そうとしたけど、萌恵奈の不安そうな顔を見たら言えなくなる。


だからイヤなの。


こういうのって。


仕事のために嘘をつくことはいとわないけど、親友にまで隠すようなことなのかな。


でも、決めたよねあたし。



「行くぞ」



そう言った昴は、仕事の時の顔をしていて、あたしに有無を言わせない。



「うん」