「・・・・・・響姫、今何時か分かってるの?」



うっすらと赤みがさした頬を見せて、彼女はあたしの名前を呼ぶ。


顔は驚くほど赤くて・・・・・・もしかして今夕方?


あたしを起こしちゃ悪いと思って辛抱強く待ってくれていたのか、彼女は本をパタンと閉じた。



「萌恵奈・・・・・・、ごめん、寝ちゃってた」



起き上がってごめんのお決まりのポーズをとって、そのまましばらく動かずにいた。



「いいよ、別に。


それより、仕事の詰めすぎは体に毒だよ?


早く寝て早く起きる、これ鉄則!」



いや、そうなんだろうけどあたしにそんな芸当ができるわけがないでしょ。


起こされればいくらだって起きれるし、1日くらい寝なくてもあたしは平気だ。


はっきりと考えられる頭になってようやく、ことの重大さを理解した。



「ちょっ、そんなことより萌恵奈!!


アイツの任務は・・・・・・?」



あえて名前を出さないのは、誰かが聞き耳を立てているかもしれないから。


任務とか言っていれば、ただの冗談くらいに済ませられるし。



「完璧よ、いつも通り。


響姫がいない間もあたし頑張ったんだから。


きゃーきゃー騒ぐの、めんどくさかったぁ」