「そ、そうかもしれないんだけど…」


たぶん、分かってるんだ…


悟君に対するドキドキと瞬君に対するドキドキの違いは…


紀伊に改めて言われて気づいた



瞬君は現れただけでドキドキして女の子と話しているだけでモヤモヤして私の場合はほとんど瞬君で頭の中はいっぱい


毎日何度も瞬君のことが頭をよぎって強く見つめられると何か愛しくてそれでもって恥ずかしくて胸が焦がれてどこか切なくなる


だから思わず逸らしたくなるんだけどでもその目は他の人に絶対に見せてほしくない


私だけを映していて欲しいっていうどこまでも矛盾した思い…それだけいつの間にか大きく膨らんだ好きという強い思い


だから怖いんだ


認めてしまったら、もっともっと好きになってしまう…


デートなんて行って新たな瞬君を見たらもっと好きになってしまうんじゃないかって




これ以上好きになりすぎて辛くなるのが怖いんだ


「デートだけでも行ってきなよ
 理子も一歩踏み出さないと、瞬君も変われないよ?」


そ、そうだよね


勇気を出さなきゃ…


私もこれ以上目をそらし続けるんじゃなくてちゃんと瞬君と向き合ういい機会だよね


「紀伊、ありがとう。
 私、デートしてみるね」


「うん、分かった
 頑張ってね」