「はい、頑張ってレンの隣に立っていてね」
HelpMe!とアベルさんを見たら、彼はポンポンと私の肩を叩いてくるし。間宮さんは申し訳ありませんと言うだけだし。皐月さんは睨み付けてくるだけ。誰一人助けてくれない……。
侍従の一人が外からドアを開くと、福祉施設の重役らしい人が数人待ち構えてる。先にレン王子が車から降りて、それから……私が次に降りる。
落ち着けと言い聞かせながら地面に足をつけた瞬間、慣れない高さのあるパンプスが滑ってよろめいたけれど。
咄嗟にレン王子の腕が伸びてきて、片手で私を支えたのだと理解した瞬間。頬に熱が集まった。
あれだけ熱く触れてきた手が、また私に。不意に思い出してしまい、真っ赤になっただろう顔を伏せて「あ、ありがとうございます」と口ごもりながら言うのがやっとで。
そんな様子を周りのカメラが盛んに撮影していることだとか、いろんな思惑が混じった視線がたくさん注がれていたとか。全然気づく余裕なんてなくて。
ややうつむき気味で歩く私がちらっとアベルさんを見た時。彼が物陰から満面の笑顔でサムズアップしてきた意味がわからなかった。



