間宮さん情報によると、どうやら昨夜弟達は別の階のスイートルームに泊まったらしい。

たぶん……レン王子が私にしたことが原因で。


家族に申し訳ない気持ちはあるけれど、ああなって後悔はしてない。配慮してくれたアベルさんや間宮さんには感謝しかなかった。


「翠様、ロビーにA県警の日下部警部補がいらっしゃってますけど。お会いになりますか?」

「え、日下部さんが?」


間宮さんから来訪者の名前を聞いて驚いた。2日前の強盗事件で初めてお会いした、A県警のエリート……とは言えないルーズな刑事さん。だけど、何だか鋭い眼光をしてた印象深い人だった。


「ええ……と、どうして私に? 会うのはレン王子でなくて、私にですか?」

「はい。レン王子は例のごとく気まぐれで神出鬼没なので……確実にお話しができるあなたにと」

「……そうですか」


もしかしたら、あの強盗事件で新しい事実でも明らかになったのかもしれない。そんなのんびりした気持ちで一度ロイヤルスイートルームから出て、エレベーターを使い階下に移動する。


(やっぱり……まだ苦手だな)


エレベーターで襲撃された時のトラウマがあるのか、ずっと中にいると息苦しくなってくる。間宮さんが気付いていろいろとアドバイスをくれて実践している最中。目的の階にスムーズに到着。


そして。


私は、日下部警部補から意外な話を聞いた。