擦過射創とアベルさんは言ってた。弾丸が体内を貫通したり残ったりしないタイプの銃創だと。
単なる擦り傷と思ってた。
だけど……ひどい火傷のような傷が10センチほど二の腕にできてる。
どれだけ痛かったんだろう。
それを思うと、胸が張り裂けそうだった。
震える手で消毒薬を脱脂綿に含ませようとして……違う場所にこぼしてしまう。それを拭いながら……私の口からも言葉がこぼれた。
「ごめんなさい……」
一度、こぼれたら後は止まらない。
堰を切ったように、私の口は言葉を吐き出した。
「ごめんなさい! 私がバカなことをしたから……相手が逆上して私を撃とうとしたんです。なのにあなたが……ごめんなさい!」
泣くな、と言い聞かせてもぽろぽろと流れる涙は止まらない。
こんなふうに泣くまいと決意をしたばかりなのに……なぜ私はこんなにも弱いんだろう。
こんなに弱くて情けない私。本当ならそばにいることも許されない。
だけど……
どうしても伝えたいことがあって、口を開いた。
「こんなことを私が言う権利なんてこれっぽっちもないのは解ってます。だけど、言わせてください。私は……あなたが……もう傷ついて欲しくないんです」



