あれ、と気がついた時には着ぐるみのレン王子と二人きり。彼はソファに座ってた。
手当てというアベルさんの言葉で、そういえば彼は腕の治療をしてないんだと思い出した。
(どうしよう……銃の傷なんて治療したことないけど……でも、やるしかないよね)
今日レン王子の手当てをしたセットをビニール袋ごと持ってきて、彼の隣に座る。動かない彼に、思い切って声を掛けた。
「あの……腕、出してください。お手当てしますから」
「…………」
今朝あれだけ大層なことを言いながら、自分が原因でケガを負わせた。その負い目があって、とても前のように強気になれない。
でも、黙ったままだときっとレン王子は傷を放置したまま。それは絶対に駄目だから、どうやって治療しようとあれこれ頭を巡らせていると。
どうしてか、レン王子はいきなり着ぐるみを脱ぎだした。
「え……あ、お手伝いします」
慌ててレン王子の手を止め、自分の手で着ぐるみのファスナーを下げる。そうなれば彼は大人しく私を手伝わせ、すっかり脱ぎ去った彼は白いシャツと黒いチノパンという格好。
なぜか着ぐるみの顔だけは脱がない彼は、そのままソファに腰をかける。
(え、もしかして脱がせるのも私なの!?)
あり得ない!今朝もそうだけど、男性を二度も脱がせるなんてどんな変態女だろう。今更ながら恥ずかしさから、顔に熱が集まるけれど。彼が動く気配はないから、ええい、ままよ!とボタンに手をかけた。
「し、失礼します!」
ドキドキしながら無抵抗な彼のシャツのボタンを外して開くと……腕に現れた新しい傷に息を飲んだ。



