クリスマスプレゼントは王子さま




ロイヤルスイートルームの広いダイニングテーブルに、たくさんの子どもたちとサンタとトナカイの着ぐるみ。一見クリスマスらしい光景だけど、囲んでいる食卓のメニューは完全に和食だった。


でも、それはそれでいい。


たった3日ぶりなのに慣れた味を堪能するみんなは、心底美味しそうにご飯を食べていた。


アパートが焼け落ちてから3日。このホテルの食事は本番でも通用するお店や一流シェフ、パティシエが作る逸品ばかり。

だけど、最初は珍しくて美味しいを連発していた子どもたちも、次第に飽きてきたのか残すはしないけど。明らかに食べるスピードが落ちてた。


何の変哲もないただの家庭料理だけど、家族が一番食べたいと思ってくれていた。そのことは涙が出るほど嬉しい。


そして、私は……。


余計なお世話かもしれないけど、レン王子にも少しは家族というものがどんなものかを思い出して欲しかった。


3つまでお母さんと住んでいたなら、少なからず思い出はあるはず。


子どもの時の記憶は特別なものだから、彼がもう少しだけ人間味を取り戻すためにも。