「ねえ、お姉ちゃん……わたし、卵焼き焼いてみたいな」


照れ笑いする風花から、意外な話をされた。


「え、卵焼き?」

「うん……ここのお料理はおいしいけど……お家でのご飯がたべたい。だけどお姉ちゃんはたいへんだから……わたしが作ってみるの……だめ?」


おずおずと、上目遣いでこちらを見る風花は……我が妹ながら破壊的な可愛らしさで。またもぎゅうぎゅうに抱きしめてしまいました。


「もちろん、いいに決まってるでしょう~。だけど、お姉ちゃんは大丈夫! みんなが優しいから、元気をチャージできたよ。またバリバリ頑張れるから、もっとあんたもわがまま言っていいんだからね」


我慢しきれなくて頬擦りする私に、さしもの風花も少々迷惑そうでした。ゴメンネ~。


「あ……あの、それじゃあもう一ついい?」


おお、これは珍しい。めったにわがままを言わない妹からの、“お願い”のオンパレード。


「もちろん! さ、言ってみて?ちゃんと聞くから」

「うん……あのね」


膝の上でもじもじする妹の可愛さときたら……(以下略)


両手を合わせて遊ばせていた風花は、たっぷり数分後にこう言い出した。


「あのね……あの、ぬいぐるみのお兄ちゃんたちとまた一緒にご飯をたべたいんだ。風花の作った卵焼きたべてほしいの」