クリスマスプレゼントは王子さま






「でも、だからレンが選んだんだろうな」


レン王子が別の侍従と話している最中、アベルさんとそんな会話をかわしたけど。彼の言葉にはて? と私は首を捻る。


「レン王子が私を選んだ? いいえ、彼からは誰でも同じって言うようなことを言われましたよ」

「あいつはバカだけど、そんな無謀なことはしないよ」


アベルさんは生真面目な顔をして、私にこう告げてきた。


「悪いけど、君がクリスマスケーキの願い事を書いた日以来、君のことはいろいろと調べさせてもらったんだ」

「え、そうなんですか?」


意外な話に目を瞬くと、アベルさんはまた苦笑いをした。


「怒らないの? 勝手に調べるな! って」

「別に、やましいことはなんにもありませんから。ちょっといろいろと足りない生活ですけど、ちゃんと自分たちで生きてるつもりですし。いろいろと知られたって、大して面白いことなんてありませんから」


他人に迷惑をかけたり悪いことをしてお金持ちになるくらいなら、貧乏なままでいい。真面目過ぎて潔癖なだけかもしれないけど、他人の不幸を踏み台にするくらいなら自分が辛いほうが良いと思う。


「偽善もここまで突き抜けると、いっそのことすがすがしいくらいだね」


だから、君には教えておくよとアベルさんが伝えてくれた内容は――私にとってショッキングなものだった。