ひろ~い車の中は何だかオフィス状態。タブレットとスマホとパソコンを駆使するレン王子……携帯電話すら持ったことがない私からすれば、すごい! ってなりますわ。
私のパソコン知識なんて中学時代の授業で習った程度なんですが……
人差し指で一回一回キー入力なんて逆に手間がかかってごめんなさい。でも、一生懸命やってるので許してください。
スマホに着信があったらしくてまずアベルさんが出て、次にレン王子に繋げる。うわぁ、英語じゃない言語でしかも早口。聞き取り不可能です。
一昨日と昨日は暇そうに見えたんだけど。あれでも夜にはものすごい量の仕事を抱えてた、とアベルさんは教えてくれた。
(明け方まで仕事をして8時前に時起きるって……絶対2時間も寝てないじゃない)
12月も下旬に差し掛かる今は日の出が7時近い。それだけ短時間だと仮眠にしかならないのに、レン王子はタフに仕事をこなしてる。
もしも私が十分に眠れたとしても、絶対に同じだけの仕事はこなせない。
だけど……。
私は、たまに気になる点があった。
時折、レン王子が微かに目を細めているということ。本当にごく稀にだけど、ピクリと右目が細くなる。
それは、大概右手を伸ばしたり上げたりしてる時。右手……? と私はなにか引っかかりを感じて考えた。
(右手……肩が痛いとか……)
そこで、ハッと思い出した。
今朝見たレン王子の傷。右肩から背中にかけて、比較的新しい傷が治りきってない状態だったと。
それなのに、彼はろくに手当てもせずに直に服を着ていた。
それじゃあ傷が疼いたり擦れて痛むはずだ。何より不衛生で治癒が遅れる。



