ギリギリまで顔を冷やした後、時間がないということで間宮さんが私の支度を手伝ってくれました。
お恥ずかしながらメイク用品の一つも持って居ない私の為に、彼女が常備しているセットで手早くメイクを施してくれまして。昨日殴られた痕も今日ぶつけた場所もわからないくらい綺麗に仕上がって驚きですよ。
それに、私の服がないだろうとまだオープン前のブランドショップに行ってあれこれ採寸した後、「やはりスカートの長さが」「デコルテは出したほうが」だのとああだこうだと着せ替えられて。あまりのレベルの高さに頭がくらくらしているうちに、いつの間にか着替えて間宮さんの運転する車に逆戻り。
綺麗なロイヤルブルーのスーツは肌触りから違う。ハッと我に返った後、慌てて運転席の間宮さんに訊いた。
「あの……この服のお支払いは?すみませんが……私にはこのお代金はとてもすぐに用意出来ませんよ」
「ご心配なさらないでください。このお支払いはレン王子殿下からなされてらっしゃいますから」
間宮さんは何でもないふうにおっしゃいますけど。プライスカードを見た瞬間、逃げたくなった私の気持ちをお察しくださいよ。
だって。スーツ一着で50万って……。
格安衣料品店で一着500円の特売シャツに飛び付く私からすれば、まさに別世界の金額。シャツが1000着買えるわ……と現実的に考えても仕方ないよね。
それにしても、途中でずいぶん丈が長いワンピースまで着せられたのはなんでだろう? と首を捻りながら最初の公務先に到着した。



