「だって……姉ちゃん、お金があんまりないんだろ? だったら贅沢なんてできないじゃん。アパートだって燃えちまったし……」
遠慮がちにそう話す翼は、小学生なのに私よりよほどしっかりしてる。
(弟にこんなにも心配をかけるなんて情けないぞ。しっかりしろ、私!)
うつむきながら自分自身を叱りつけた私は、勢いよく顔を上げてにっこりと笑い、テーブルの上にディリーストアで買ったものを置く。
「そうだろうと思って、姉ちゃんみんなのご飯も買ってきたよ。好きなもの取りなさい」
「わぁっ!」
よほど空腹だったのか、海だけでなく大人しい風花までもが駆けよってきた。
そして、私は振り返り突っ立ってる着ぐるみに向けて笑いかけた。
「もう、着ぐるみを脱いだらいかがですか? ご飯を食べる時くらいはお互いにちゃんと顔を見ましょうよ……あ、こら! そのサンドイッチはレン王子のだから。海、欲張り過ぎないの」
「ちぇっ」
レン王子の食料を何とか死守した私は、それぞれテーブルに座らせてミニキッチンで簡単にアレンジしたスープを作りみんなに振る舞った。
「いただきます!」
手を合わせて挨拶してから頂く。さすがに着ぐるみを脱いだレン王子が、訝しげに合わせた両手を見た。
「なぜ、食べる前に祈るんだ?」



