その後間宮さんの予告通りにすぐ警察がやって来て、覆面男達は一人残らず捕まった。
店舗は立ち入り禁止の黄色いテープが張られ、店内にいた従業員や客に警官が話を聞いてる。けど、こちらには警官でなくスーツを着た男性がやって来た。
「やれやれ……せっかくお昼寝出来るかと思えば。やっぱあんたですか」
やや茶色がかった髪が好き放題跳ねたボサボサ頭に、眠そうな目と伸びっぱなしのヒゲ。汚れたグレーのスーツによれよれのトレンチコートを着た男性は、トナカイの着ぐるみを見て息を吐いた。
たぶん30代の半ば辺りだろう刑事さんは、どうもレン王子を知ってる様子。
「あの……これ見て驚かないんですか?」
指さした先で相変わらずホットコーヒーを吸う着ぐるみに、日下部(くさかべ)と名乗った刑事さんは苦笑する。
「まぁねえ。一応コイツもいろんな意味でしょっちゅう命を狙われっから、顔出しなんざそうそうできやしないんだろ」
「はぁ……そんなものですか?」
「なんだ? あんた、レンの恋人なんだろ。コイツが知らねえ女に群がられても平気なわけ?」
逆に日下部刑事に不思議そうに訊かれ、「はあ」と返すと眉をひそめられた。
「反応うっす! あんた、ホントにそれでレンの恋人なの?」
日下部刑事に指摘されて、ハッと気付いた。
(そうだ、こういう時やきもち焼かなきゃいけないんだっけ)
「い、いやですよぅ~ 彼に女の子が近づいたら~」
「……なんかずいぶん棒読みだな」
「き、気のせいですよ」



