クリスマスプレゼントは王子さま




「……コーヒーくらい静かに飲ませろ」


意味不明なことをのたまったレン王子は、「ホットコーヒーをくれ。シュガーとミルクも10ずつ」と涙目の店員に告げる。ハッと我に返ってオーダーを作り始めたアルバイトの女の子は……結構根性ありますね。


「きさま……ぐえっ」


私を取り押さえていた覆面男の一人が突然、白目を剥いて床に崩れおちる。急に自由になって目を瞬いていると、一人の女性が眉を下げて顔を覗き込んできた。


「翠様、保護が遅れてしまい申し訳ありませんでした」


花柄のワンピースを着た女性は恋人らしき男性といたカップルと思っていたのだけど。困惑する私に、女性は名乗ってくれた。


「あ、申し遅れましたがわたくしはレン王子のSS(シークレットサービス)を務めます、間宮(まみや)と申します。これからは翠様の護衛を務めさせていただきます」