クリスマスプレゼントは王子さま






「姉ちゃん、腹減った~!」


ドアを開いてすぐ飛び出したのは、二番目の弟の海(うみ)。その後ろでは末っ子で妹の風花(ふうか)が、使い古しのノートに黙々と絵を書いてた。

折りたたみのテーブルでは上の弟の翼(つばさ)が、宿題らしいプリントを広げながら立ち上がる。

「お帰り、姉ちゃん。裕(ゆう)くんと美麗(みれい)ちゃんはちゃんと保育園に迎えに行ってきたよ」

「ありがとう、翼。ごめんねいつもいつも」

「ううん、オレができることはあんまりなくてごめん」


翼は小学6年生だけど、私が居ない時にはよくきょうだいの面倒を見てくれる。それだけでなく、近所の子ども達のお世話までしてる。小学生なのにかなりしっかりしていて、本当に頭が上がらない。


「裕くんと美麗ちゃんの母ちゃん、また昨日から帰って来てないみたいだから、一緒にご飯……良いかな?」


裕くんと美麗ちゃんのお母さんはキャバ嬢をしていて、朝方に帰ってくる。外に恋人を作ると度々家を空けて何日も帰って来ない。だから、その間はうちがお世話をしてきた。


「なに遠慮してんの! もちろんいいに決まってるでしょ。さ、今からちゃっちゃっと作っちゃうからもう少しだけ待っててね」


翼の肩を叩いてからエプロンを身につけて台所に立つ。すると、妹の風花が隣にやって来た。


「……手伝う」

「ありがとう。姉ちゃん助かっちゃうな!」


柔らかく頭を撫でると、風花は控えめに頬を染めて喜んだ。弟たちはこのところ家事を少しずつ手伝ってくれる。その成長が嬉しく頼もしかった。