クリスマスプレゼントは王子さま




リーダーらしい覆面男は一瞬驚いたようだったけれど、すぐに私を引き剥がそうと容赦ないパンチを浴びせてきた。


頬に痛みを感じたと同時に口が切れたか、血の味を感じたけれど。負けるもんか、と男にしがみつこうともみ合った。


(絶対に離すもんか!守るんだ……弟たちを。姉ちゃんの根性見せてやる)


男の子の涙目が昨夜見たばかりの弟達のものと重なって。絶対に、守ってみせる!と男の両足にしがみついていると、近くにいた男がやって来て引き剥がされ、床に転がされた。


「この女じゃないですか?」

「……確かに。特徴は一致するな」


覆面男の一人が不可思議なことを言い出すと、リーダーらしい覆面男はこちらを見下ろしてきた。


「よし、手足を縛れ。みやげ物としては上出来だろ」


リーダーらしい覆面男の指示で、両手を紐で縛られてしまった。抵抗しようにも押さえつけられていて、悔しくて噛みついたら、頬を叩かれた。


「いってぇな!この女が!!」

「おい、ほどほどにしとけよ。更に見られない顔にするな」


(さらに……ってなによ! 私がブサイクって言いたいの!?)


カチンと来て憤慨もしたけれど……否定できないのがちと悔しい。


それにしても、と私はテーブル席にいるレン王子を見た。


(この非常時に一体何をしてるのよ!)


そして……


相も変わらずホットコーヒーをストローで飲む哀愁漂う背中を見て……何だか脱力した。


(ミルクとシュガーを3つしかもらえなかったからって……なにそんなにガッカリしてんのよ)