クリスマスプレゼントは王子さま




もともと駅前でお昼時もあってか、テーブルはすべて埋まってたけど。誰一人動かずに店内は一気に静まり返った。


カウンターで順番待ちしている人や、従業員も固まったように動かない。


店内に侵入した5、6人ほどの強盗犯達は手にした凶器で威嚇をしながら、リーダーらしい男ダミ声の男がカウンターに近づいて汚れた袋をそこに置いた。


「おい、昨日からの売り上げ全部をこん中に入れろや。回収はまだって知ってっから誤魔化すなよ」


リーダーはアルバイトらしい若い女の子に言うけど、女の子は青ざめてガタガタ震えたまま。涙眼で茫然自失状態だった。


「おい! 耳が聴こえねぇか、おめえはよ!」


男がガン! とカウンターの板を蹴ると、それが真っ二つに割れてガランと落ちた。


「てめえの頭がこうなりたくなけりゃ、とっとと売り上げ金出せや」

「ひ……は、はい」


もう一方で他の男たちは店内が外から見えないようにブラインドを下ろし、鍵を施錠してドアに何かを取り付けた。 見たところ何かの装置っぽい。


「電波関係を全てジャミングしたから、通報したりネットで報せようったってムダだからな」

「おい! 動くなっつったろ!」


勇気を出したらしい男子高生二人が覆面の一人に飛びかかったけど。覆面男はあっという間に二人を叩きのめした。


「ガキはいい子でお寝んねしてなよ」


武道の経験があるだろう体格のいい若い男の子でも敵わないなんて……。


男子高生に期待を持った人たちの目が落胆に変わるのが見えた。