クリスマスプレゼントは王子さま






すると。


なぜか、レン王子の動きが止まった。


「……ピクルス」

「は?」


今、ピクルスと聞こえなかった? 気のせいかしらん。と私は気を取り直して地図を覗いた。


現在位置は赤い矢印で、お店はジャンル別に色分けして表示されている。だけど、時折☆印があって、しかもそれがリアルタイムに動いているのが見てとれた。


しばらく眺めた後にはっと我に返った私は、急いでめぼしいお店を捜す。


「え……っと、あの……このお店はどうですか?」


ファストフード店のお向かいに、ちょうどイタリアンを主にしたファミレスがあったから。そのお店を指さした。


ファミレスなら予算に合わせて選べるし、リーズナブルなお料理も多い。レン王子が着ぐるみのままでも大丈夫なはず……たぶん。


そう思ったけど。


「ピクルス……」


もう一度呟いたレン王子が、なぜか影を背負ってる。


気のせいじゃないなら、さっきもピクルスと呟いていたよね?

(もしかするとピクルスが大好きで食べたいのかも)


ハンバーガーにはピクルスが付き物。本当は食べたいのにプライドが邪魔して言いにくいのかもしれない。


(よし、好物情報もらい! なら、選ぶべきはひとつ)


「わかりました。それじゃあハンバーガーにしましょう、うん! さあいきましょ」


ハンバーガーなら私の寂しい懐事情でも問題なく食べられるし、どんな服装でも大概オッケーだから気楽。だから嬉しくてついつい着ぐるみの手を取って立ち上がる。