クリスマスプレゼントは王子さま




この質問は少々ひねくれた誘導尋問で、相手のやりたいことや意思をはっきりさせたい時に使う。昔どっかの本で読んだやり方で、弟達に頭で考えさせて物事を決める訓練に使ってきた。


レン王子が素直に答えてくれるかはわからない。でも、やらないよりはまし。


彼だって人間なのだから、食べ物の好き嫌いくらいはあるはず。


息を飲んで彼の動向を窺っていると、着ぐるみはマグカップテーブルに置いた。


「……アレルギーはあるのか?」

「え、いえ? あ、それならばあなたの方は?」

「問題はない」


え、いきなりアレルギーの話? とさすがに目を瞬いた。


「それならば特に問題ないな」

とトナカイはポケットから突然タブレット端末を取り出した……って、え?


トナカイ(レン王子)は分厚い手袋の上からでも慣れた手つきでタブレット端末を操作する。液晶画面に表示されたものは、この付近の地図だった。


「……現在、オレ達はここにいる」


赤い矢印でマーカーされたポイントは、正確に私とレン王子の居場所を示していた。


「この辺りに飲食店は複数ある。空腹ならば距離的に最も近いファストフードがあるが……」
「そ、そこで良いで……いえ、なんでもありません」


思わず「そこで良いです!」と力一杯叫びそうになってしまいました。


だって……おサイフの中身を考えたら、そうそうお高い場所での食事は出来ませんから。