クリスマスプレゼントは王子さま





(何だろう? 何だか放っておけない……)


幼い弟たちを育てて10年近く。男の子たちの成長を間近で見てきた経験からすれば、レン王子はまだ“男”どころか“男の子”としてすら成長して居ないようなそんな気がしてならない。


(この人は……国に帰ったらエライ人になるんだよね?)


その……クヴェル王国とかはまだよく知らないけれど。王子様なら、将来的に何か重要な地位に就いたり。場合によっては王さまになったりするのかも。


なら、そんなどえらい地位に就く人がこんなに人の心を無視する性格だなんて。最悪じゃないの?


(もしかしてものすごい暴君になったりしたら……)


レン王子の説明では西ヨーロッパ辺りにある小さな国らしいけれど、いくら小さくても一国の命運を左右する可能性のある人がこんな無感情な人間でいいはずがない。


(できるかわからない……だけど。私ができる範囲で彼が人間らしくなれるように頑張ってみよう)


だから、私は自分の利益だの何だのを抜きで承諾した。


「……わかりました。でも、対価は身辺警護とホテル代だけでいいです。それ以上は分不相応ですから、お断りさせていただきますね」