クリスマスプレゼントは王子さま





「私にはそこまでして頂く価値はありませんよ?」

「あんたが女でオレが男、国籍は違えど互いに独身で後ろぐらいことも一切ない。
だから、あんたがどんな人間かは関係ない。オレが必要なのは余計なスキャンダル避けのための“一時の恋人”という存在だけだからな」


だから、支払う対価は誰であろうと変わらない。そんな言い方をされたら、自分の人間性をすべてを否定された気がして悲しくなった。


(この人は……人間を単なる“記号”と見なしてる。その人の個性や人間らしさを無視して……私のこともきっと、“性別は女”程度の認識なんだ)


その正直さは最初は好ましく思えたけれど、今となっては冷たくよそよそしく感じた。


相手への配慮に欠けるということは、気配りすらしなくてもよいどうでもいい存在ということだから。


(これだけ綺麗な顔をして身分もよくて……お金持ちそうなのに……何だろう。人形のようなひとだ)


冷たく無感情――けれど。同時に何だか危ういほどの脆さを内包しているような、そんな感じがした。