「レン! 一体何をしてるんですかこれは!?」


ロイヤルスイートルームに直接繋がるエレベーターを待っていると、開いてすぐに出会ったのはサンタさんの着ぐるみを着ていたあの男性だった。


彼は、荷物を持った私たちを見ると焦ったような顔になり、言葉巧みに子ども達を欺き……結果。また同じように部屋に戻された。


そして、彼は顔だけ出したトナカイのレン王子に怒鳴り付けたという訳でして。


レン王子の頬が赤くても見咎めるどころか、またかよと言った慣れた様子で完全にスルーしてた。


仮にも一国の王子を叩いたのだから、内心はお咎めを恐れてビクビクしていたのだけど。むしろその彼にフォローされてしまいました。


「このバカが失礼なことをしたのでしょう? 本っっっ当っっっに申し訳ありません! ホレ、お前も謝れ」


侍従長であるアベルさんにグイグイ頭を押さえつけられても……レン王子自身の謝罪には見えないんですが。


それ以前に、アベルさんも仕える主をバカとかお前呼ばわりとか。何もかもフリーダム過ぎません?


「子どもたちはホテルからは出すな」

「え?」


ポツリと出たレン王子の言葉に、言葉が足りないとアベルさんが憤慨する。


「お前は単語ばかりを並べ立てただけで会話になってない!話をするならきちんと事情を説明しろ」

「危険性について警告はした」
「どこがだ! あれだけで何を理解しろと言うっつーの!? みんながみんな裏を読める人間と思うな!」