「……あの火事の責任はオレにある」
「……?」
また、レン王子はそんなことを言い出した。
「どういうこと……ですか? 確かさっきもそんなことを言ってましたよね」
私が怪訝そうな眼差しを向けたからか、レン王子は何の感慨も浮かばない瞳でこちらを見てきた。
「オレが関わったからだ」
「……え」
「だから、責任は取る」
アパートが焼け落ちた火事は、レン王子が原因だとはっきり言及された。一応今は償いについて話をしているらしい……だけど。
思いっきり手を振りかぶると、レン王子に向けて手を叩きつける。見事な音が響いて、王子の頬が赤く染まった。
やっぱり……
彼は、こうなっても眉ひとつ動かさない。
「結構です! あなたからの施しは受け取らなくても何とかしますから」
腰に手を当てて威嚇してから、弟達に向かい荷物を持つようにと促せば。当然にブーイングが上がった。
「え~なんで? 今日はここに泊まるんだよね? なんで出てかなきゃならないの」
「ごめんね。今日はちょっと見学に来ただけで。今からちゃんとしたホテルに行くから、今日はこれで勘弁して」
「ええ~! 友達に自慢しようと思ってたのになァ」
家族にがっかりした顔をさせるのは辛い。
だけど……義務感からの、血や感情が込もってない謝罪や償いなんて。ないほうがマシだ。
お人形のような美貌に、血の暖かみがないひと。レン王子にはそんな印象を受けた。だから……。



