クリスマスプレゼントは王子さま







12月はあっという間に日が暮れる。6時を過ぎればとっくに夜で、その暗さを補うように街のあちこちではイルミネーションが輝き、寂しい風景に彩りを添えていた。


両手にエコバッグを下げて歩いていると、町行く人たちは浮き立ったしあわせそうな笑顔で歩いて行く。


駅前通りにある役所のビルの側面には巨大なクリスマスツリーのイルミネーション。もうそんな時期になるんだな……としみじみ見上げた。


しあわせそうな人たちを見ているだけで、こちらもしあわせをもらえた気分になれる。


だけど、と。暗いディスプレイのガラスに映る自分の姿を見ると現実を突き付けられて少しだけ落ち込む。


油まみれの繋ぎを着て、真っ黒でボサボサの髪をひとつに束ねた、化粧のひとつもしてない地味な女。同世代の女の子達が華やいでいるのを見ると、惨めになることもある……でも。


(ううん、これが私。取り繕っても仕方ない! あの日決めたんだから。お父さんとお母さんに代わって弟達をちゃんと育てるって)


ぶるぶると頭を振ると、うんと頷いて気合いを入れ直す。


自分のしあわせや楽しみなんて二の次。みんなのために、頑張らないと! 改めて決意をして、アパートに帰るために足を踏み出した。