「……オレは、最初おまえを見た時からおまえが欲しかった。
ただ家族のことを想うおまえが……そのあたたかさを」
「レン王子?」
「オレにとって今まで他人は敵か、利害がある人間か。そうでしか区別できなかった。父上にすら見捨てられたオレには、頼れるのは自分だけで。やられる前にやる……そうしなければ生きていけなかった。信用せずに疑うことが当たり前で……自分の命に価値など露ほどにもないと。いつ死んでもいいと思ってた」
「そんなこと……ありません!」
私は思わず叫んでいた。
「あなたは不器用ですけど、とても優しい。私は知ってます! そんな寂しいことは言わないで」
「泣くな、おまえを泣かせたい訳ではない」
立ち止まったレン王子は、私の流した涙を唇で吸った。
「そんなオレが生きたいと思ったのはおまえがいたからだ」
「私……?」
「最初はおまえを見る自信がなくてトナカイの着ぐるみで誤魔化していたが……もう、オレとおまえを隔てるものなど何もいらない」
着ぐるみにそんな理由があったなんて。信じられなくて目を瞬くと、レン王子は私を両腕で抱いて見下ろしてきた。



