「昨日の特訓を思い出してくれれば大丈夫ですわん」
男性か女性かわからないデザイナーさんに見送られた後、着いたのはホテルの控え室だった。
3畳間ほどの広さの控え室には幾つか椅子が置かれていたけれど……。
そのうちのひとつに、レン王子が座っていてドキンと心臓が跳ねた。
(ま、待って……こんな格好で急に顔を合わせるなんて。恥ずかしいよ!)
しかも、侍従の一人と話しているレン王子は今まで見たことがない服装を着てる。たぶん、軍服の一種だと思う。白地に金色の縁取りがされて、金のモールが幾つも肩章に掛かってる。
青いたすき……みたいな布を斜めがけにしていて。それはたしか身分が高い人しか身につけられないものと思い出す。
本当に、王子様なんだ。
だけど……と凛々しいその軍服姿に思わず見入ってしまってた。
フッ、と息を吐いたレン王子が不意にこちらを見たから、その瞬間逃げ出したくなったけれど。後ずさる私は、あっという間に王子の腕に捕らわれた。
「なぜ、逃げる?」
「だ……だって私……こんなの……に、似合わないですから」



