(私のお陰って……そんなことないのに)
疑問に思いながら部屋から出たところで、意外な人の姿を見て思わず駆け寄った。
「間宮さん!」
「翠様」
無事な姿に感極まって思わず抱きつこうとしてから、彼女が腕に包帯をしていると気付いた。
「すみません、私の為にこんな……」
「いいえ、これくらいは日常茶飯事です。それよりもあなた様が無事で何よりでした」
だって、と彼女はにっこりと笑う。
「あなた様は、ようやくレン王子が見つけられた希望なのですから。この身を挺しお守りした価値があります」
彼女は傷ついたというのに逆に晴れ晴れとした、誇らしげな顔をしている。希望だとかそんな価値は私にはないと否定したかったけれど。今言うのは不粋な気がしてありがとう、とお礼を言うだけにとどめた。
「ありがとう、間宮さんのお陰で今私はここにいます。本当にありがとう」
「いいえ、わたくしでよければ今後ともよろしくお願いします」
「は、はい……?」
笑顔でそう挨拶されて、思わず疑問形で返してしまいましたよ。今後なんて……今日で終わるのに。