どうやら敵がコンテナの上から銃撃をしてきたらしく、レン王子は私を庇いつつ物陰に駆け込むと、シャツに隠していた銃のマガジンを本体に詰め替えた。
「おまえはここで待ってろ。退路を確保したらすぐに合図をするから、後ろを見ずに出口までまっすぐ走れ。もうすぐ援護が来る。それまでの辛抱だ」
「は、はい」
私がわがままを言って足を引っ張る訳にはいかない。どうやらレン王子は少人数でこの倉庫に突入したらしいから、今劣勢なのは明らかだ。
だけど……
どうしても怖くて、ギュッと彼のシャツを掴んだ。
「お願い……これ以上……傷つかないで。どうか無事でいて……」
自分が傷ついたり、命を落とすより怖いこと。それは――このひとを、レン王子を失うことなのだと。私はようやく悟った。
私はこの人が好きなんだ……。
やっと、私はそう自覚して。それでも失う怖さに手を離すことができない。
(でも……それも私の一方的な願いでわがまま。押し付けちゃいけない)
震える手で指をゆっくりと離していく。止まらない涙を、レン王子は唇をつけて吸う。
「オレは、死ぬつもりはない。信じて待て」
「……はい」
信じる……彼を。そう決めた私は、両手を固く握りしめて彼を見上げる。レン王子は……フッと表情を和らげた。
「明日のパーティーでおまえに伝えるまでは死なない」
「レン王子……!」
そう言い残したレン王子は、コンテナから飛び出していった。
飛び交う銃声を聞きながら、私はひたすらみんなの――レン王子の無事を願う。
(お願い……どうかレン王子が無事でいますように)



