銃声が轟いた――
けれど、撃たれたのは私でなく左右の男たちで。ゆっくりと倒れる男たちから解放されると、その場で崩れ落ちた。
カツン、カツンと足音が室内に響く。
誰が来たのかと咄嗟に振り向いた私は――目を疑った。
だって……
「やはり……いらっしゃいましたか、レン·アーベント·フォン·クヴェル·フルューゲル王子殿下!」
男は歓喜したようににいっと気味の悪い笑顔を作る。それが合図のように――新しい登場人物であるレン王子は足を止めた。
「……あんたに名前呼ばわりされると虫酸が走る。王子などと一欠片とて思ってもいないくせに」
「いやいや、第一王子がご病気でお子様が作れぬお体である以上、他に唯一の王子殿下であられるあなたが王太子となるのは確実。敵対より手を結ぶ方がお互い有益だと思いませぬか?」
「は、腐りきったあんたたちと手を組むくらいなら、喜んでもとの町に戻るよ。人の不幸を蜜にしてのしあがるあんたらと同じになるなら、泥水をすすってた方が何億倍もマシだ」
レン王子はその琥珀色の瞳に明らかに侮蔑と嫌悪を浮かべ、連中を見据えた。
「それ以上寝言抜かすなら、永遠にお寝んねでもしていてもらおうか」



