クリスマスプレゼントは王子さま





嗅ぎ慣れない火薬に似た臭いと……血の臭い?


ハッ、と気がつくと間宮さんが肩を押さえて苦痛の表情を浮かべていた。


「間宮さん!」

「翠様……お逃げください。ここはわたくしが引き受けますから」


間宮さんはスカートを捲ると、大腿にあるポシェットから銃を取り出した。


「で、でも……」

「あなたをお守りすることがわたくしの仕事です。どうかその任務をきちんと果たさせてください」


痛みからか脂汗をにじませながらも、毅然とした顔つきで間宮さんはそう告げる。


「どうか、つまらない感傷はお捨てください。あなたの今の役割は――無事にレン王子の元に戻ることです」


そう言われて、ハッと気付いた。今の間宮さんはシークレットサービス……護衛としての矜持を賭けているのだと。


どんな状態でもベストを尽くす。それはどういった仕事でも同じ。


私は間宮さんの肩の血止めをしながら、コクンと頷いた。


「必ず……助けを呼んで来ますから!」

「わかりました……では、わたくしが合図をしたらあの木陰まで走ってください。その後は斜面を下りなるべく外へ……あちらの方角ならば一番一般道に近い。まだ車が通る時間帯ですから、なるべく早急に車を捕まえて脱出してください」


「はい」


「では……」


間宮さんは私から離れて距離を取ると、近づく男どもを見据えた。


「走ってください!」


間宮さんの叫び声と同時に、私は猛ダッシュで木陰に飛び込んだ。


何発かの銃声が聴こえるけれど、頭を左右に振って彼女の指示通りに下に降りるため足を滑らせたけれど。


草が動いたかと思えば。突然、頭に激しい痛みが走って意識が遠のいていった。