「とんでもない! そのようなことをおっしゃっらないでください」
間宮さんは恐縮するけれど、もとはと言えば私がうっかりしてたからだ。
「いいえ、日下部刑事からも気をつけるようにと言われてたのに……油断した私が悪いんです」
昼にやって来た日下部刑事は、私が狙われる可能性が濃いと警告に来てくれたんだ。私がレン王子にとって弱点になるから、と。
だけど、私は本気に受け止めなかった。自分にそんな価値はないと考えたからだし、事実私はレン王子にとって仮初めの恋人というだけの、ただの人形。レン王子は私自身をこれっぽっちも必要となんてしない。
だから、何を勘違いしたらそんなふうになるのか。と油断した私が悪いんだ。レン王子の足を引っ張りたい人間がいるなんて十分に知っていたはずなのに。
私なんて価値のないものでも利用しようとする切羽詰まった人たちがいるなんて。
「そんなことはありません! 確かにレン王子はお言葉をあまりおっしゃいませんが……本当に不要ならとっくに切り捨ててらっしゃいますよ。翠様はもっとご自分に自信をお持ちください」
間宮さんが一生懸命に私を擁護してくれるけれど、気を遣わせてしまっていると逆に申し訳ない気持ちになった。
「いいんです、間宮さん。その他大勢の立場でも一時そばにいられただけでもしあわせでしたから……さ、それより早く移動しましょう」
私が何とか立ち上がって間宮さんに向けて笑顔を向けた瞬間――間宮さんが飛び込んできた。
「翠様!」
パン、パン、と何かが弾けた音が響いてしばらくして。数人の男が近くに現れた。



