気が遠くなりそうなほどに時間をかけて、ゆっくりゆっくりと結び目をほどいていく。疲れて何度も止めようかと思ったけれど、諦めるなと自分を叱咤して続けた。
「……やった!」
パラリと紐がほどけた瞬間、思わず声が出て慌てて口を塞いだ。
(静かに……静かに。誰がいるかわからない)
誰が何の目的があって私を閉じ込めているかわからない以上、下手に動いて刺激をしてはダメ。とはいえ、大人しく閉じ込められる気はありません。
(みんなに知られる前に何とか脱出しなきゃ)
紐から解放されてすぐに立ち上がって、辺りの様子を見る。窓は板が張られてダメかもしれない……でも。ダメ元で押したり引いたりしてみた。
……とはいえ。弟達を育てたり力仕事が多い町工場での仕事のお陰か、私は女性にしては力がある。全身で力一杯押しているうちに、外から打ち付けられた板が……外れて落ちていった。
「やった!……え」
これで外に出られる! と喜びいさんで窓を開いた瞬間。すぐに足がすくんだ。
だって……自分がいた部屋から窓の外はすぐ崖になっていたのだから。
風の音が不気味にとどろいて、心細さに拍車をかける。
だけど、よく見たら建物の周りには幅10センチくらいの足場がある。5メートルくらい先まで頑張れば広い場所に出られそう……なら、と私は躊躇うことなく窓からそっと足を下ろす。
その瞬間、足が滑って落ちそうになったけれど。咄嗟に窓枠を掴んで事なきを得た。
ドキンドキンと心臓が狂い、冷や汗が背中を伝う。手あせで滑らないよう気をつけながら、震える膝を叱咤して足を動かした。



