クリスマスプレゼントは王子さま





(状況はさっぱりわからないけど……少なくともいい事態じゃないことは確かだよね)


短期間とはいえ今まで親身になってくれた人を疑いたくはない。だから、犯人の可能性を考える作業なんて放棄して、今はここから出ることを優先しなきゃ。


(レン王子の迷惑になりたくない。彼に手間をかけさせないために……何とか自分で)


明日になれば二度と会わなくなる相手に、レン王子がわざわざ手を差しのべるかどうかという可能性以前に。私にはレン王子が労力を割く価値があるとは思えない。


だから、こうなった以上は自力で何とか脱出して逃げ出さなきゃ。そう決めた私は、後ろに縛られた両手をどうにかしようと思案した。


(あ、そうだ。たしか裁縫セットが胸ポケットに入ってたはず)


両手は縛られてはいるけれど、うごかせないわけじゃない。両腕をなるべく高く上げて、胸ポケットまで顔を近づける。


何とか裁縫セットを口でくわえて膝の上に落とすと、その中から針を取り出して床に突き刺す。そして、手探りで紐の結び目の見当をつけて、そこに針を通してからゆっくりゆっくり動かした。