クリスマスプレゼントは王子さま





「おいしい!」

「うん、おいしいね」


ラーメンをすする子どもたちのとびっきりの笑顔に、こころがほんわかと温かくなる。


「ほら、海。スープをこぼさない。もっとゆっくり食べなさい」

「え~なんで僕にばっかし言うのさ? 兄ちゃんたちがずっこいじゃんか」


むくれた海が指さす先には……


着ぐるみのまま黙々とラーメンをすする謎の二匹。


サンタさんは頑なに髭を外さないから、ラーメンの汁と油でつけ髭が汚れてるし。トナカイに至っては顔と頭がトナカイの顔のぬいぐるみで隠れてて、どう見ても食べられないのに。繋ぎ目の首の部分だけ開いて箸で麺をそこに押し込んでる。


……どれだけ顔を見せたくないのですか。そして、どれだけラーメン食べたいんですか。


変なところで根性を発揮する二人(二匹)に苦笑いしつつも、中華屋さんにあるテレビでは、夜のニュースが流れ始めた。


「へ~外国の王子さまが今日本に来てるんだ。あんまり聞いたことない国だけど」


ニュースに興味津々なのか、ラーメンを食べ終えた翼がそう呟いた。確か翼は世界史と地理が好きだったな、と思い出す。


「翼も聞いたことないの?」

「うん。クヴェル王国ってのはね。アフリカか東南アジア辺りの新しい独立国かな?後で調べてみようっと」

「ぶほっ」


なぜか、サンタさんが麺を盛大に吹いた。