ドキドキドキドキ。

さっきから心臓がうるさい。

先輩が来るかどうかなんて、分からないのにね。

昨日、私は、先輩にLINEを送った。

『先輩。明日、会社で待ってます』

これぽっちだったけど、相当の勇気を要した。

既読はついている。でも、返信はなかった。

先輩は忙しいから。だから。

ぜったい、ぜったい。明奈さんとは、居ないはず。

そう、自分に言い聞かせる。

今日は4時に起床し、自分の分と、先輩の分のお弁当を作った。付き合えたら、食べてもらおう。

2つのお弁当を胸に抱え、会社へと向かう。

先輩ー・・・。

会いたいよー・・・!

会社へ着く。先輩はいない。早すぎ?

時刻を確認すると、5時30分だった。仕事開始は7時30分。早すぎたんだ。


けど、仕事が始まっても先輩は来なかった。

心配していると、このオフィスの取締がやってきて、信じられないことを口にした。

「司が・・・。三上司が、会社を辞めた」


カイシャヲヤメタ。

それがどういう意味のことを言うか、しばらく分からなかった。

でもそれが、先輩が私から遠ざかることだけは察した。

LINEしたのに。

なんで。

先輩に会いたいと、抱きしめたいと、こんなにも、こんなにも強く思ったというのに・・・ー。