「なんでもねーよ」


とごまかして、睦月の柔らかい髪をくしゃっとなでた。


「うわー、もう汚くなるじゃん!」


睦月を適当にあしらって、睦月の隣へ行き、同じく雅楽川さんを覗く。


ツムギへと優しく細められていた綺麗な瞳は、固く閉ざされていて開く様子がない。


早く、目を覚ましてください。


と心の中で祈った。


「睦月、帰るぞ」


「うん」


そうして、俺達は病室を後にした。