そして、彼は彼らを振り回す。

だから、絶対に…。


「シズク、ありがとう」


「…いえ。わたしは、そろそろ戻ります。どうかお気をつけて」


「あぁ、お前もな」


シズクの去っていく後ろ姿を見て、幼い頃に見た兄の姿に重なった。


シズクは、オレが7歳の時に迎えられた養子で2歳下の妹。


シズクは兄に可愛がられていた。


だけど、今のオレと同じように兄はシズクをおいてあの家から逃げ出してしまった。


そして、兄は恋人を親父に殺されて、自殺した。