そして、彼は彼らを振り回す。

「だろうと思ったよ。オレは親父に勝てたことなんて一度もなかった。だけど、今回は負けるつもりはないよ。…でも、シズクに迷惑をかけるかもしれない。ほんとにごめん」


「…そうですか。変わりましたね、ツムギさん。いい方に。正直言って昔のツムギさんは感情のない人形のようで、怖かったのですが…」


「ははっ…そうだっけ？」


「はい…。楓さんや先ほどの人たちがツムギさんの本来の姿を取り戻してくれたのですね。わたしにはできませんでしたから…悔しいけれど、うれしいです。だから、わたしは全力でツムギさんもツムギさんの大切な方たちも守ります。わたしのことは心配なさらないでくださいね」


シズクは涙目になりながらも微笑んだ。


シズクは優しすぎる。


オレはそれに甘えてばかりだ。


それも、今回で最後にしたい。