力なくそう返事をして項垂れる。
助かった……侑李のお陰で足がしびれる前に解放された。

私だって、従者らしく敬語で接しようとしたことはある。
けれど侑李から「気持ち悪い」とまで言われ、今の状態に落ち着いたのだ。

私にどうしろと……あぁ、これが噂に聞く中間管理職のジレンマってものだろうか。
叫びたい気持ちを息に乗せて、ふぅ~と深く吐き出した。



「蒼井?要らないなら俺が全部食うけど、いいんだな?」



ひょこっとドアの奥から顔を覗かせて、真顔で言う侑李。
こういう時の彼は、嘘をつかない。
マズい。このままでは自分用に買ったものまで、侑李に食べられてしまう。



「っ、ダメ!抹茶は、私のだから」



侑李の声にハッと我に返り、頭を上げ叫ぶ。
取り敢えず、今はシュークリームが先だ。
これからの事は、食べた後で考えても遅くは無い……はず。

自分に言い訳をしつつ、立ち上がった。